【連載第28回】価格暴騰で消費者がどの様な対応を取るのか?(8) | ショクビズ!

【連載第28回】価格暴騰で消費者がどの様な対応を取るのか?(8)

公開日:2023.07.20 更新日:2024.10.17
ライター:信田 洋二

コンビニエンスストアの王者セブン-イレブンで120店舗もの経営指導を実施し、担当地区の店舗合計年商を大幅に伸長させた経験を持つ信田洋二氏。本連載では、小売業のスペシャリストである信田氏に、消費動向やメーカーの目指すべき方向性などについて分かりやすく解説していただきます。

今回も、『エンドゴンドラでのストーリ展開』という点について、お店は何をしているのか?について解説してみたいと思います。


今回は、「家庭料理の定番(カレー、お好み焼きなど)」のエンドゴンドラでのストーリーについて考えてみます。

子供のいる家庭などでは、「子供と一緒に」料理を作るということを週末などを中心に楽しみにしている家庭も少なくない状況です。そのような家庭では、特によく作られるメニューとしては、カレーやお好み焼き、たこ焼きなどが定番中の定番であり、食卓での出現頻度なども非常に多いのが特徴です。お店側とすると、これらの出現頻度の高いメニューは、エンドゴンドラでの「メニューとしての展開」がやりやすく、お客様に訴えかけやすい商材群であると言えます。

特に近年では、製品として、山芋や膨らし粉なども含有し、家庭では水で溶くだけ。の簡単便利な商品なども各社から多数出現し、それぞれの商品を一堂に会し、さらにけずり粉や青のり、紅ショウガなども一体化した商品等もあり、ソースなども各社で特徴のある機能が良く見える商品などが多く発売されていますので、エンドゴンドラでの展開においても、これらが一気に購入できる売場を作りやすい状況です。また、お好み焼きやたこ焼きなどは、季節を問わず喫食される傾向が強いメニューですので、年間を通じてエンドゴンドラでの商品提案がやりやすい売場であると言えます。

が、ややもすると年間通じて安定的ということが、マンネリ化や陳腐化を生み出してしまう元ともなります。お客様にとってみれば、『必要な時にだけ見ればよい売場』との認識を持たれてしまうと、メニューきめの際に「お好み焼きにしよう」と思わない限り、その売場への立ち寄りはないことになり、売場として見て頂ける可能性の頻度が低下する事になります。余りに長期間同じ売り場展開としていると、お客様にとってみれば『店内風景の一部』と化してしまい、見えども見えず。の状況となります。

それでは、せっかくの売場作りも功が薄くなってしまいますので、理想的に言えば、数か月に一度単位では、商品の完全な入れ替えを行い、都度お客様に向けて「目新しさ」をアピールする事が求められます。商品構成が多くのメーカーさんより、ほぼ完全な状況で品揃えができるメニューなだけに、かえって難しさも内包しているということになります。カレーも、実は同様で、レトルト関連やルー、スパイスなど、様々な商品が出されていますが、これらを一堂に会すると、立派な「カレー売場(エンド編)」が出来上がります。

これも、長年同じ場所での展開をそのままにしておくことで、風景(景色)の一部となってしまい、逆に魅力のない売場に映ってしまいます。完成形があるからこその難しさ。これらとの戦いにも日々小売りは勤しんでいます。

次回は、『ラーメン』のエンド展開について、解説をしてみたいと思います。

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この記事のライター

信田 洋二

信田 洋二

1995年株式会社セブン-イレブン・ジャパン入社。店舗経営指導員(OFC)並びにディストリクトマネージャー(DM)として、千葉県成田市を中心とした成田地区、千葉市内などの店舗合計120店舗に対する経営指導を実施。成田地区のDM在任時、担当地区の店舗合計年商を約140億円から約155億円に伸長。千葉県下(9地区)にて最も売上の低い地区を、第4位の売上となるまでに伸長させるなどの実績を上げた。その後、情報システム部を経て物流部に在籍。2010年株式会社Believe-UPを創業、コンサルタントとして独立。主に小売業を対象に、店長、マネジャー、SV育成、データを活用しての売場づくり指導などで幅広く活躍している。著書に『セブン-イレブンの物流研究』(商業界、2013年)『セブンイレブンの発注力』(商業界、2015年)がある。