ローリングストックとは?商品開発のコツや既存商品の訴求方法、実例をまとめて解説

公開日:2023.07.18 更新日:2024.10.17
ライター:ショクビズ編集部

食品や日用品を保管しながら、日常的に消費を行うローリングストックが注目を集めています。特に日本は災害が多い国なので、ローリングストックの考え方は誰もが知っておかなければなりません。  そして食品メーカーは、中長期の保存に適した食品を開発するだけでなく、既存の商品の売り出し方を考えてみてはいかがでしょうか。  そこでこの記事では、ローリングストックに対応した食品を開発するメリットや企業の事例をご紹介します。 

ローリングストックとは 

ローリングストックとは、常温保存できる食品や日用品を少し多めにストックしておき、少しずつ消費しながら買い足していく備蓄方法です。 使ったら使った分だけ買い足していくため、消費期限が切れる心配もなく、常に新しい商品をストックしておけます。  ローリングストックのポイント「古い食品から使う」ということ。備蓄する食品は新しいものから並べ、順番に使っていくことが大切です。  そして災害時は電気やガス、水道が止まる可能性があります。よって食品だけでなく、水や電池などのライフラインになるもの、そして食品を調理できるカセットコンロなどがあると、もしも時でも安心です。   

防災食品市場は伸び続けている 

日本の防災食品市場は大きな成長を見せています。  2020年度の国内防災食品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比111.5%を記録。  防災食品市場は伸び続けている 出典:矢野経済研究所 防災食品市場に関する調査を実施(2021年) また2021年度は東日本大震災から10年の年でした。よってメディアで取り上げられる場面も多く、防災食品ローリングストックへの関心が高まったと予想されています。  日本はいつ大災害が起こるか分からない災害大国です。特に大規模な地震が起こると、すべてのライフラインが止まる可能性があります。 南海トラフ地震の危険性も叫ばれているため、ローリングストックの需要は高まっていくはずです。   

家庭だけでなく企業内での備蓄も重要視されている 

企業では災害時に従業員の安全を確保できるように、防災グッズの導入が推奨されています。  今までは数年間の保存ができる乾パンなどが主流でした。しかしいざという時に、消費期限が切れていたり、美味しく食べられなかったりなど問題が起こっていました。 ローリングストックであれば、こまめに使用と補充を繰り返すため、消費期限を気にすることなく災害対策ができます。 また、さまざまな食品を取り入れられるので、美味しく食べられるのもメリット。 企業であればローリングストックで消費したい食品を購買に回して、新しい食品を補充するやり方がおすすめです。  このように企業でのローリングストックは重要視されています。    

ローリングストック対応の食品を開発するメリット 

食品メーカーがローリングストック対応の食品を開発するメリットをご紹介します。 

災害大国の日本では大きな需要が見込める 

日本は世界有数の災害大国です。よって防災食品ローリングストックへの関心は高いといえるでしょう。  各自治体では災害発生時に対応するガイドラインを定め、防災食品をストックしています。また地域の食品メーカーやスーパーマーケットと連携した調達体制も強化されてきました。 よってローリングストックに対応した食品の需要は一定数あり、安定した売上が見込めます。   

アウトドア食品としてのニーズも 

ローリングストックに対応した食品は、アウトドア食品としてのニーズも高いといえます。  キャンプや登山などのアウトドアだけでなく、災害時の備蓄も兼ねてローリングストックを行う人も少なくありません。 例えば、パスタやカップラーメンなど、お湯で戻せる食品は安定した人気があります。  ローリングストックだけでなく、アウトドア食品として売り出せば、大きな需要を巻き取れるかもしれません。 

既存商品の訴求方法を変えるのもおすすめ 

防災食や災害食など、保存に適した食品の開発には時間とコストがかかります。 しかしローリングストックであれば、既存商品の訴求方法を変えて売り出すことが可能です。  そこでローリングストックの訴求方法やおすすめ食品を紹介します。   

訴求方法を変えればローリングストック商品になる 

常温保存できる商品であれば、ローリングストック対応食品として訴求できます。 大前提として、ローリングストック長期保存できる商品である必要はありません。こまめに食べて消費するため、多少日持ちする食品であればローリングストックとして打ち出せます。  よって常温保存できる食品を販売しているのであれば「災害時の備えに」「ローリングストックにいかがですか?」など訴求方法を変えてみてはいかがでしょうか。 幅広い訴求方法を実践すれば商品の露出も増え、売上を伸ばせる可能性があります。   

ローリングストックおすすめの商品 

ローリングストックおすすめの商品は以下の通りです。 

  • ・お米 
  • ・お餅 
  • ・飲料水 
  • ・レトルト食品 
  • ・インスタント食品 
  • ・乾麺 
  • ・野菜ジュース 
  • ・缶詰 
  • ・シリアル 
  • ・お菓子 

これらに該当する食品を開発している企業は、ローリングストックとして打ち出してみてください。   

ローリングストック対応の食品を開発する企業事例 

防災食やローリングストックに対応した食品を開発する企業の事例をご紹介します。 

おいしく食べる長期保存食を取り扱う「IZAMESHI(イザメシ)」 

おいしく食べる長期保存食を取り扱う「IZAMESHI(イザメシ) ■画像引用元:IZAMESHIとは?(https://izameshi.com/about/ イザメシ」は、突然の災害時に備えた長期保存食を開発する食品メーカーです。今までの保存食とは違い、美味しさやメニューの豊富さにこだわり、安心して食べられる開発を行っています。   看板商品の「イザメシ・オリジナル」は、水を加えるだけで食べられるアルファー米を使用。それ以外にも、和菓子やパンなどしっかりと食事のできるラインナップが魅力です。 また、ふりかけで有名な三島食品とコラボしたおかゆや、ギンビスの「食べっこ動物」とコラボしたビスケットなど、さまざまな有名食品メーカーとの共同開発も進めています。  今までの防災食品の価値観を覆し、新しい風を吹き込んでいる食品メーカーといえるでしょう。   

防衛庁から表彰された「三立製菓」 

■画像引用元:三立製菓カンパン(https://kanpan.jp/ 「源氏パイ」「かにぱん」などの人気商品を生み出してきた「三立製菓」。実は乾パンのトップメーカーとしても知られています。  1937年から旧陸軍用の乾パンの製造を開始し、1989年には防衛庁から表彰を受けています。 通常の乾パンは「美味しくない」と思われがち。しかし同社の商品は、小麦粉を3段階にわたって長期熟成させ、ゴマの香ばしい味が「美味しい」と根強いファンも多いです。  防災食は安定した売上が見込めるため、安定した経営が行えています。   

食物アレルギーにも配慮した防災食を開発する「アルファフーズ」 

■画像引用元:防災・非常食UAA食品®|アルファフーズ株式会社(https://www.alpha-foods.net/ 健康に良い食材を防災食に加工している「アルファフーズ」。 同社では、通常の防災食に限らず食物アレルギー特定原材料等28品目を使用していない長期保存食や、高齢者でも咀嚼しやすい保存食を開発しています。 子供からお年寄り、障がいを持つ人まで、さまざまな人に対応しているのが大きな強みです。日本では高齢化が進んでいるため、高齢者向けの防災食は需要が高いでしょう。   

美味しく食べられる缶詰パン「新食缶ベーカリー」 

美味しく食べられる缶詰パン「新食缶ベーカリー」 ■画像引用元:非常食トップ | アスト株式会社(https://www.ast-corp.jp/shop/ アスト」は業務用食品や非常食の開発・製造を行う食品メーカーです。  その中でも賞味期限5年のパンの缶詰「新食缶ベーカリー」が注目を集めています。厳選した原材料で焼き上げたパンは、缶詰とは思えないほど柔らかくしっとりとしています。 商品は缶の中で熟成・発酵・焼成しているため長期保存が可能。ラインナップはプレーンやミルク、黒糖、メロンなど種類も豊富です。 さらに缶詰を日当たりの良い場所に置いておくと、温かいパンが食べられるのも嬉しいポイントといえます。 火を使わなくても加熱できる工夫は、参考になる部分が多いです。   

常温で6カ月保存できる「アイクレオ 赤ちゃんミルク」 

常温で6カ月保存できる「アイクレオ 赤ちゃんミルク」 ■画像引用元:アイクレオ | 【公式】江崎グリコ(Glico)(https://www.glico.com/jp/product/babyfood/icreo/ 大手お菓子メーカーの「江崎グリコ」では、常温で6カ月保存できる赤ちゃん用のミルク「アイクレオ 赤ちゃんミルク」を開発。日本初の長期保存に適したミルクとして、大きな注目を集めています。  母乳と同程度のミネラルやナトリウムを配合し、赤ちゃんが美味しく飲めるように設計してあります。 災害時は赤ちゃんの食糧確保が難しいため、常温保存できるミルクは重宝されるはずです。  乳幼児をターゲットにすることで他社と差別化。ニッチなニーズを巻き取った事例として役立ちます。   

ローリングストック対応の食品を企画しませんか 

災害大国の日本では、ローリングストックの考え方が広まっています。家庭だけでなく、企業や自治体での導入も進んでいるため、安定した需要が見込まれるかもしれません。  また新しく商品を開発しなくても、既存商品の見せ方を変えるだけでローリングストックを訴求できます。ぜひ本記事を参考に、ローリングストック対応食品の開発を検討してみてください。  ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる「食品開発OEM.jp」を運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。

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