クラフト食品・クラフト飲料とは?手間暇かけた食品・飲料の魅力を徹底解説

公開日:2023.05.22 更新日:2024.09.11
ライター:ショクビズ編集部

近年、クラフトビールやクラフトコーラなどの「クラフト食品」が注目を集めています。
クラフト食品を製造するメーカーも増え、飲食店や小売店での取り扱いも増えてきました。
この記事では、クラフト食品が注目を集める理由や参入するメリット、製造している日本企業の事例を紹介します。クラフト食品の開発・製造に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

クラフトとは?クラフト食品、クラフト飲料について

クラフトとは「技術」「技巧」などの意味を持ち、手芸や工芸の分野で用いられる言葉です。それが語源となり「手作り」で「小規模生産」された食べ物や飲み物クラフト食品と呼ぶようになりました。

クラフト食品は、ひとつひとつ丁寧に生産されているので、価格設定は一般的な食品よりも高め。そのかわり、味や品質を追求し「より良いもの」を求める消費者から高い支持を得ています。

最近はクラフトビールやクラフトサイダーなど、さまざまなクラフト食品を目にする機会が増えました。ちなみに「地ビール」「地サイダー」と呼ばれているものも、基本的にクラフト飲料に含まれます。

そして近年では大手食品メーカーも参入し、大量生産であっても、手作り感のあるクラフト食品が登場しています。今後はより良いものを求める消費者向けに、多くの企業がクラフト食品市場に参入していくでしょう。

クラフト食品が注目を集める理由

なぜクラフト食品が注目を集めているのでしょうか?
その理由をまとめてみました。

おうち時間を有意義にしたい人が増えた

コロナ禍により、自宅で余暇を過ごす人が増加しました。すると「おうち時間を充実させたい」という人が増え、ちょっといい商品をお取り寄せしたり、スパイスを購入してクラフト食品を作ったりする人が出てきたのです。

「今日は特別にクラフトビールを飲もう」
「スパイスを買ってジンジャーエールを作ってみよう」

このように、自宅でちょっと贅沢をしたい人が、クラフト食品に興味を持ち始めています。その結果、クラフト食品の認知度が上がり、小売店や飲食店での販売や提供も増えはじめているのです。

若者の酒離れによりノンアルのクラフト飲料が人気に

日本では若者の酒離れが深刻化しています。海外でもあえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」という考え方も広まっており、飲酒に関する多様性も認められるようになりました。

その背景から、お酒の代わりとなるノンアルコール飲料の開発が進んでいるのです。最近は酒造メーカーがノンアルコールの飲料を開発するケースも増え、お酒を飲まない人向けの商品も次々と登場しています。

こだわりを重視する世代が増えた

1990年半ばから2010年代生まれた「Z世代」は、個性を尊重した考え方を持っています。

メジャーなものではなく、オリジナルやこだわりを大切にし、「手作り」で「小規模生産」されているクラフト食品への興味関心も高い傾向にあります。

大企業もその流れを察知し、クラフトをコンセプトとした商品を発売。その結果、明治の「ザ・チョコレート」サントリーの「クラフトボス」などの人気商品が生まれ、個性を尊重するZ世代を中心に人気を集めました。

食品メーカーがクラフト市場に参入するメリット

食品メーカーがクラフト市場に参入するメリットを紹介します。

商品単価を高めに設定できる

クラフト食品の価格は「高め」に設定されているのが特徴。人件費や食材費などの原価率が高いため、その分が価格に反映されているのです。

すると一般的な商品よりも、一人当たりの購入単価が高くなり、安定した売上を見込めます。

最近はコロナ禍により「ちょっといい商品」を求める人が増えています。その心理を利用し、クラフト食品を展開していくと購入単価アップにつながるでしょう。

こだわりで他メーカーと差別化

クラフト食品最大のメリットは、他メーカーとの差別化にあります。こだわりを持って生産しているため、真似されることが少なく、独自路線で販路を拡大できます。

例えば、日本でメジャーなラガービールを製造しても、他商品の知名度が高く、埋もれてしまうでしょう。しかしクラフトビールであれば、差別化ができ購入のきっかけになります。

ライバルメーカーとの差別化に悩んでいる方は、クラフト食品への参入がおすすめです。

価格競争から抜け出せる

一般的な商品だと価格競争に巻き込まれてしまいます。近年は値上げの波もあり、消費者はより安い商品を求めるようになりました。

しかしクラフト食品は、価格競争が起こらないのがメリット。少々値段が高くても購入してくれるユーザーがいるため、値下げして叩き売りする必要がないのです。

これからの時代、ただ値下げするだけでは企業は生き残れません。売上を確保するためにも、値下げの必要がない商品を作る必要があるでしょう。

日本で注目を集めるクラフト食品・飲料の事例を紹介

最後に日本で注目を集めるクラフト食品や飲料を紹介します。

農家が手掛けるクラフトビール

■画像引用元:YellowBeerWorks|福島発クラフトビール(https://yellowbeerworks.com/

福島県にあるクラフトビールの醸造所Yellow Beer Works。農家が醸造するブルワリーとして注目を集めています。

同社では、自社で大麦やホップ、お米、野菜などを栽培し、原材料の一部として使用しています。

ホップが通常の3倍程度入っており、華やかさとフルーティーさの強いビールに仕上がるのが特徴。パッケージはカラフルでポップな見た目で、日本のクラフトビールと分からないほどです。

農家という利点を活かし、クラフトビール市場に参入した事例として参考になります。

静岡発のジャパニーズクラフトコーラ

■画像引用元:ベルメシ | ジャパニーズクラフトコーラ | 静岡市(https://www.japanesecraftcola.com/

株式会社R&Oフードカンパニーでは、地元静岡のレモンやベルガモットを使用したクラフトコーラ「ジャパニーズクラフトコーラ」を開発しています。

コーラには、静岡の清沢地区で育てられた農薬不使用レモンをふんだんに使用。国産のてんさい糖と黒糖、7種のスパイスをブレンドし、飲みやすいクラフトコーラに仕上げています。

また生産者や製造者、販売者など、静岡県のプロフェッショナルを集結させ、より品質の高い状態で提供できるように工夫。地元の力を借りながら、全国、そして世界へと発信しています。

フルーツやハーブなどの「副原料」を活かしたクラフトサケ

■画像引用元:LIBROM Craft Sake Brewery(リブロム)(https://librom.jp/

福岡県福岡市にあるLIBROM Craft Sake Breweryでは、「日本酒文化をもっと身近に」をコンセプトに、食用花やフルーツ、ハーブなどの副原料とした「クラフトサケ」を製造・販売しています。

同社では、日本酒の伝統的な技術は守りつつ、副原料を加えることで新しいお酒を開発。日本ではリキュールに分類されますが、海外では「日本酒」として扱われることも多く、世界からも注目を集めています。

最終的にはイタリアにSAKE醸造所を作るのを目標にされており、今後が楽しみな醸造所です。

酒蔵が手掛けるすだちサイダー

徳島県美馬市にある司菊酒造は、手作りにこだわった地酒を作る酒造メーカーです。美馬市は四国山系と吉野川に囲まれた自然豊かな地域で、酒造りにはもってこいの場所。その地形と技術を活かして、すだちサイダーの開発にも着手しています。

すだちサイダーは爽快感のある味わいが特徴。日本酒と同じように、こだわりをもって作られたサイダーは、お酒を飲めない人にももってこいの商品です。

カカオ豆の個性を最大限に引き出したクラフトチョコレート

東京都にあるクラフトチョコレートブランドMinimal-Bean to Bar Chocolate-(ミニマル)。余計なものは入れないミニマリズムの考え方をもとに、クラフトチョコレートを製造しています。

チョコレートの原材料は、カカオ豆と砂糖のみ。何も加えない最小限の製造方法で、カカオ豆の個性を活かしたチョコレートが出来上がります。また製造工程でカカオ豆を残すことにより、ザクザクとした食感と芳醇な香りを実現。多くの人から支持されています。

世の中ではミニマリズムの考え方が広まっています。よってミニマリズムなチョコレートも注目を集めていくでしょう。

インドネシアの農家を支えるクラフトコーヒー&チョコレート

香川県にあるサニーサイドフィールズでは、クラフトコーヒーやチョコレートの製造を行っています。

コーヒーとカカオ豆はインドネシアから取り寄せ、香川の素材や風土を取り入れて製造。そしてお店の売上は、インドネシアの農家を支える基金にもつながっています。

コーヒーはフレッシュな状態で楽しめるように全て自社で焙煎。曜日や時間で焙煎する豆を変えて、最高の状態で提供しています。

チョコレートは、農園で育てた野菜や果実、お茶や和三盆と組み合わるのが特徴。さらにチョコレートのワークショップも開催しており、体験しながらチョコを味わうこともできます。

熱いクラフト食品市場、商品開発を検討されてみては

消費者の行動が変わり、クラフト食品が注目を集めています。特におうち時間が増えた背景を考えると、「少しいいもの」を購入したいユーザーは増えているはずです。

そしてクラフト食品の開発には商品の企画力が求められています。ショクビズを運営する株式会社丸信では、商品企画のサポートやOEM商品を探せる食品開発OEM.jpを運営しています。これまでの経験や実績をもとに、食品メーカーや小売店向けの相談やサポートも承っておりますので、ぜひご活用ください。

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