【事例】食品スーパーのフードロス削減への取り組み!大手スーパーの取り組みも紹介
近年、フードロス削減に向けた取り組みが活発化しています。 「SDGs」(持続可能な開発目標)では、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれました。日本でも2019年に「食品ロス削減推進法」が施行され、2020年には「食品ロスの削減に関する基本的な方針」が閣議決定され、これからますます取り組んでいかなければならない課題です。
本記事では、食品業界におけるフードロス削減の取り組み内容と、大手スーパーの取り組み事例をご紹介します。
食品業界におけるフードロス削減の取り組み
現在、フードロス削減において食品業界ではこのような取り組みをしています。
食品業界の商慣習「3分の1ルール」を緩和する
賞味期限や消費期限の手前に「販売期限」があります。その販売期限がくると商品を棚から撤去し、メーカーへ返品もしくは廃棄されてしまいます。京都市が市内スーパーにおいて、賞味期限や消費期限ギリギリまで販売した結果、食品ロスが10%削減されたそうです。
気象データの活用によりフードロス削減を実現
日本気象協会は、食品メーカーだけではなく、食品小売業とも連携して、年間の食品ロスを20%から30%削減することを実現し、利益率の向上に大きく貢献しています。
食品メーカーによるパッケージの改良
容器の改良により鮮度保持、酸化防止できるようになり、賞味期限の延長が実現しています。また、個包装や小分け包装にすることで、消費者が「使いきれる・食べきれる」工夫もされています。
「対前年増」ではなく、前年実績で売って完売
「対前年増」ではなく、前年と同じ実績で販売し完売できるようにしたり、季節商品においては事前予約をしてもらうなどロスがなるべく出ないよう取り組んでいます。
成城石井・ヤオコー・イオンの取り組み事例
では、スーパーではどのような取り組みがされているのでしょうか。3つの事例をご紹介します。
成城石井
成城石井では、店舗限定ではあるものの、製造過程で基準を満たさなかった商品の割安販売を行っています。基準を満たさないとはいっても、製造の過程で表面に皺ができてしまっただけのプリン、形や色にムラのあるウィンナーやパンなど、家庭で消費する分には何ら問題のない食品ばかりです。 ウィンナーを例に挙げると、通常180gのものを大袋で1kg入りにして販売するなど、お得感が強くなっています。他には、製造上余ってしまった食パンの耳を、シェフとコラボし商品開発した「パン職人のこだわり湯種食パンラスク」として販売し、お買い得感と同時にプレミアム感を演出しています。
ヤオコー
ヤオコーでは、カットフルーツを製造する際に出たパインの切れ端を使って「低温減圧製法でしっとり食感に仕上げた無添加のドライパイン」という商品を作っています。これまでは捨てるほかなかった部位をうまく使った商品です。また、19年4月から、米を除く常温加工食品の納品期限を3分の1から2分の1にする取り組みを開始、20年4月には対象を菓子類にも拡大しています。 これは、これまで業界の慣例になっていた、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する「3分の1ルール」を緩和したもので、まだ賞味期間が長く残っているにも関わらず納品できなくなり、その結果廃棄となってしまう食品を減らすための取り組みです。
イオン
イオングループは、食品廃棄物を堆肥にして自社農場で活用する取り組みを行っています。また、賞味期限表示の「年月日表示」を「年月表示」化し、月末までにきちんと食品として消費できるように管理しています。 消費者から「家庭で消費されずに残っている未開封の加工食品」を店頭で回収し、その後フードバンク団体を通じて食品を福祉団体・施設・子ども食堂などに届けるフードバンク活動を行っており、取り組み店舗を増加させています。
消費者とともにさらなるフードロス削減へ
こうした事業者の積極的な取り組みもあり、年々フードロスは減少傾向にあります。 2018年のフードロスの推計値が600万トンに対して、2019年の推計値は570万トンと30万トンも減少しました。 しかし、依然として多くの食品が廃棄されており、その約半分が家庭から出ています。そのため、さらにフードロスを減少させるには事業者と消費者が一緒になって取り組んでいく必要があるのです。 画像:http://www.env.go.jp/press/files/jp/117140.pdf では、どのように消費者と一緒になって取り組んでいったらいいのでしょうか。 具体的には、規格外品・余剰品を使った商品のPRや、食材を無駄なく使える「食べきり・使い切りメニュー」の提案・調理の実演、食品を長持ちさせる保存方法の提案などがあります。 また、今日食べるものは消費期限・賞味期限の近いものから取る「てまえどり」の周知啓発、賞味期限と消費期限の違いをきちんと知ってもらうなど、まずは消費者にフードロスについて意識・関心を持ってもらうことが大事です。
商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」POPを活用しよう
画像:https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/temaedori.html 農林水産省のHPでは「てまえどり」の啓発資材のダウンロードが可能です。 ダウンロードページはこちら 買い物をするとき、すぐに食べるものは賞味期限が近い商品棚の手前から選ぶ「てまえどり」を推奨しています。取組の一環として、啓発資材を自由に活用できるよう、農林水産省のHP等を通して提供されています。 こちら自由にダウンロードが可能なので、まずは自店舗で使ってみてはいかがでしょうか。 これから消費者と一緒にさらなるフードロス削減に取り組んでいきましょう。
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この記事のライター
ショクビズ編集部
企業の主な実績
オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
オリジナル紙箱・化粧箱・パッケージの企画・作成 11,000製品以上