緊急時の食品表示変更には猶予期間があります
様々な社会要因の影響で、社会全体がニューノーマル時代への移行を余儀なくされています。また、毎年のように異常気象による災害も多発しています。食品加工会社でも、これまでとは全く違った環境に戸惑いつつ、何とか対応されているのが実状ではないでしょうか?
このような状況下で、製造している食品の「表示内容の食い違い」が発生した場合には、一部猶予を与えられることがあります。
当サイト内でも一部紹介しましたが、この「表示内容の食い違い」に関して、深掘りしてお伝えするとともに、過去に猶予された事例を解説します。
消費者庁による食品表示基準の弾力的運用の通知
2020年4月10日、消費者庁は、新型コロナウイルス感染症拡大を受け、食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用を通知しました。これは、容器などに表示されている「原材料等の原料原産地・栄養成分」について、実際と異なっていたとしても、適切な情報が他の方法で伝達されている場合、該当食品の販売を認めるという旨の緩和措置です。
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって、国内外のサプライチェーン停滞による原材料・添加物の供給停滞が懸念され、一部切り替えを検討したとしても、容器包装の表示変更に即時対応ができず、結果として生産・流通に支障を来すことに配慮したためです。
これを受け、消費者庁は食品の生産体制確保という観点から、農林水産省・厚生労働省と連名で、「アレルギー表示・消費期限」などを除き、食品表示法第4条第1項の規定に基づいて定められた食品表示基準の弾力的運用に関する通知を行いました。
通知内容は、食品表示基準に従って容器包装に表記された原材料等の「原料原産地」「栄養成分」などに関する表示について、実際との食い違いがあっても販売を認めるというものです。ただし、一般消費者に対して、店舗内の告知やウェブサイト内での掲示により、適正情報が適時適切に伝達されている場合に限られます。
なお、今回の運用は、あくまで食品の生産・流通の円滑化を図るための措置であり、故意による悪質な違反に対しては、厳正に対処されます。
■資料:消費者庁「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms214_200410_1.pdf
弾力的運用は米トレーサビリティ法にも
「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律(平成21年法律第 26 号。米トレーサビリティ法)第8条」において、一般消費者に対して米穀等の産地情報の伝達が義務付けられています。
しかし、コロナ禍や災害等の不測の事態が続く現状においては、食品表示基準の弾力的運用に関する通知と同様に、「容器または包装の表記」と「実際に使用されている原材料の産地」に食い違いがある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により、適正な情報伝達がなされている場合は、当分の間、取り締まりを行わなくても差し支えないと通知しました。
ただし、これに便乗した一般消費者を欺くような悪質な違反については、従来通り取り締まりを行うとしています。
■資料:消費者庁「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた米トレーサビリティ法の弾力的運用について」
https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms214_200410_02.pdf
令和2年7月豪雨の表示運用の特例措置
消費者庁は、令和2年7月豪雨により他の製造所等で食品を製造または加工する場合など、実際とは異なる場合であっても、製造所等の表示の取り扱いの特例として、製造所および製造所固有記号の表示運用を一時的に緩和しました(現在、猶予期間は終了しています)。
■資料:消費者庁「令和2年7月3日からの大雨を受けた製造所等及び製造所固有記号の表示の運用に係る通知の取扱いについて」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/assets/food_labeling_cms204_201023_01.pdf
このように、コロナ禍や災害等の不測の事態には、製造している食品の「表示内容の食い違い」が発生した場合でも、一部猶予を与えられることがあります。最新情報は、消費者庁のホームページをご確認ください。
記事:株式会社丸信 食品表示プロジェクト・梶 貴則
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この記事のライター
ショクビズ編集部
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オリジナルシールの企画・作成 10,000社以上
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